ダイバーの正体に迫る本企画、25人目はNabejizoさんです。よろしくお願いします!

Nabejizoさんプロフィール

現在ダイビング歴2年半のレスキューダイバー。経験本数は600本超。タイ・チョンブリー県在住。自動車部品を作る会社の駐在員。Twitterでは日常やダイビングについてつぶやき中。

厳しいガチガチな世界と思いきや、楽しい!感動のレクリエーション

――まず、ダイビングを始めたきっかけについて教えてください。

息子とタイ南部・インド洋に面したランタ島へ行った時に参加したシュノーケリングがきっかけです。そこで珊瑚を見て感動してしまって。家路に着く途中で息子が「ダイビングのライセンス(Cカード)を取りたい!」と言い出して、二人で講習を申し込みました。

――その時点では、ダイビングに対してどんなイメージを抱いていましたか?

ダイビングに対しては、ライセンスを取るのは難しく、知識も叩き込まないといけないんだろうなぁ!そして、「一歩間違えば死!」なので、知識と経験を要求されるガチガチな世界なんだろう!と思っていましたね。冗談の余地が1ミリもないような…。

でも一方で、ダイビングライセンスを取れば、シュノーケルより長い時間、水中の生物・景色を見ていられる。そして年中夏、かつ太平洋とインド洋に面している立地の国・タイに住んでいる。これはいい条件がそろっているな、とも思いました。

――たしかに、その環境にいて海の世界に興味があるならCカードを取らないのはもったいないですね!海外でCカードを取得するにあたって、どんなふうにダイビングショップを選ばれたのでしょう?

OWを取る時はやはり日本人インストラクターがいるダイビングショップを選びました。僕は英語、タイ語もわかりますが、少しでも誤解があったらいけないと思ったからです。ただ、息子は英語とタイ語ができて日本語は日常会話程度だったんです。そこで、座学は親子別々で僕は日本語、息子はタイ語で受講することにしました。

タイは長期滞在の日本人だけで4万人もいて、日本人インストラクターがいる日本人向けのダイビングショップが多くあります。さらには僕が住んでいるチョンブリー県では日本人ダイバーの知人も多かったので情報集めは簡単でした。そして、最終的には知人に紹介してもらったダイビングショップにしました。

――言葉の壁をクリアできるのは大きいですね。初めて海で潜った時の印象はどうでしたか?

小さい頃から千葉の海で潜って貝を取ったり、魚を突いたりしていたので、海に潜ること自体に特別な感情はなかったんです。ただ、「水中で空気が吸える!」という感動は大きかったです。

当時13歳だった息子も落ち着いて講習を受けていました。子どもの方が早く中性浮力を取れていた気がします。インストラクターさんが中性浮力を取ってピタッと停まっていたのですが、息子もそれを真似する形でピッタリ停まっていました。その時はその意味がわからなかったのですが、いま考えると、覚える、というか、体に刷り込むのが早かったと思います。

海洋実習で行ったタイのチョンブリー県・サメサンというエリアにはガンガゼがいっぱいいて、初っ端からチクっと刺されるんですが、もしかすると中性浮力のトレーニングに繋がっていたのかもしれません。

――早い段階で中性浮力をモノにできるのはすごいですね!最初はガチガチな厳しいイメージがあったダイビングですが、講習を経て印象は変わりましたか?

ガチガチというイメージは座学で崩れました!たとえば、深度と時間と窒素の蓄積などのところは、「だいたいイメージできればいいですよ!あとはダイブコンピューターに従ってください」とか「これは実技でやるので、パス!」とか、イメージしてたよりもずっと気楽に受けられたので。もちろん、大事なところはしっかりおさえた上でですけどね!

それから、プール実習の時インストラクターさんが普通に短パンで潜っていたのに拍子抜けしました。それまでは、映画に出てくるダイバーのように全身をウエットスーツでガッチリ覆っているのが当たり前だと思っていたので、こんな身軽な服装でやっていいんだと。

そして、海洋実習ではタイ人のインストラクターさんに習う回がありましたが、13歳の子どもが受講することが珍しかったのか遊ぶ時間が多かったんです。その回の実技を終えたら遊びタイム。息子のフィンを脱がせて、水中を歩かせたりしていました。このあたりから、「ダイビングはレクレーション!」という認識に変わりました。

ダイバー図鑑
ダイビングショップでくつろぐ猫

海洋実習の船に日本人の知り合いが数名いたため、リラックスした状態で受けられたのもよかったです。

――楽しそうです!無事OWのCカードを取られた後はすぐ潜りに行きましたか?

はい、ダイビングライセンスを取った直後が長期連休だったので、「よし!ダイビング旅行だ!」となって。いろいろ調べた中でシーズン的に良さそうな有名ポイント、タオ島に行くことにしました。

――Cカードを取ってすぐに長期休暇っていいですね!タオ島でのはじめてのファンダイビングはいかがでしたか?

最初にびっくりしたのが、ボートの上、全員日本人だったこと(笑)!タイに住んでいて、普段は外国人に囲まれて生活しているので不思議な感じでした。

それから、1本目でギンガメアジの大群に巻かれ、感動の嵐でした!なにしろランセンス取得した時の濁った、流れの強い、ガンガゼだらけの海しか知らなかったので。いきなりギンガメトルネードに遭遇して思わずロストしかけました。

ダイビングが終わると、ダイビングショップの方やゲストたちみんなで食事に行ってすぐにダイビング友達ができました。で、このショップはタオ島でも撮影好きダイバーが集まるショップだったのです。なんだかすごい撮影機材を持ったダイバーが何人も。これで、ズッポリとダイビングにハマることになりました。

――Nabejizoさんがダイビングにハマったのは水中写真の影響が大きかったんですね。

そうですね。その後もタオ島に頻繁に行くようになりましたが、写真を撮る人が多いのでいつも同じショップを使っています。

チーム編成もカメラ組、カメラ無し組みと分けてくれたり、マクロチームを編成したりと、写真を撮りやすいんですよ。日本から来るダイバーさんとも知り合いになりましたが、みなさんこのショップの常連さんで、写真が上手い人が多く、タイミングを合わせて一緒に潜ったりしました。

ダイバー図鑑
タオ島はマクロも楽しい

――基本ひとつのダイビングショップをリピートしている感じですか?

タオ島以外でもダイブサイトごとにひとつの現地ショップを決めてリピートしています。

何度も潜ることでショップの方と信頼関係ができて、チーム編成に気を使ってくれたりするのがいいですね。

OW取得から毎週末どこかで潜っていますが、頻繁に行くショップでは2年目には僕とバディさんのための専任ガイドをつけてくれたり、ガイドなしのバディダイブを許してくれたりして、自由度がどんどん増していきました。タイではバディダイブはほとんどできないのですが、同じショップで何度も潜ることでショップも僕の趣味やスキルを理解してくれて特別にOKをもらっています。

逆に「この人にガイドをお願いしたい!」というガイドさんがいる場合もあります。写真撮影のことをよくわかっていてネタを準備してくれているようなガイドさんですと、自分で潜るよりガイドさんと潜った方が全然楽しいです。

ダイバー図鑑
タオ島のエビ

――海外で自分の趣向に合ったダイビングショップを探すには、どういうところに気をつけたらいいのでしょう?

初めてお世話になるショップさんはどうしてもホームページなりSNSなりを見て決めますが、たとえばマクロ写真が載せてあると「マクロを案内できるガイドさんがいるんだなぁ」とわかるので写真はよく見ます。SNSの投稿頻度の高さも注目しています。

あと、重要視しているのは、メッセージやメールなどでのやりとりです。まだお互い会ったことがない時点でレスポンスが早かったり、質問やリクエストなどに細かに反応してくれたりすると信頼感が生まれます。特に、タイは場所やショップ、ガイドさんによってもダイビングのスタイル自体がずいぶん違うことがあるんです。事前にすり合わせておかないと自分もそれ以外のゲストも不満を抱えてしまう可能性があるんです。

たとえば欧米人のダイバーさん。泳ぎまくるのが好きな方が多く、ガイドさんも泳ぎっぱなし!ガイドさんが生物を案内することがない、なんてこともあります。そこに、でかいカメラを持った僕が突然入ったら、お互い不幸になります。

また、日本から卒業旅行で大量にやってきたOW習得すぐの大学生の子たちのチームに入れられても、お互い楽しくない。

なので、僕は自分が写真を撮ることは必ず伝えます。そしてマクロの生き物を案内できるガイドさんの有無などもあらかじめ聞いておきます。LINEでやりとりしているとダイビングの手配以外のことでもいろいろ話が盛り上がるので、いい雰囲気で初日を迎えられます。

あとは、やはり知人の紹介も安心感が大きいですね。同じボートに乗り合わせた日本人同士でダイバーの輪ができて、おすすめショップ情報を交換することも多いです。

――なるほど。事前のすり合わせや知人のクチコミは大切なポイントですね!

フランス海軍仕込み!?バディのロストをきっかけに受けたレスキュー講習

――現在レスキューダイバーとのことですが、どういった経緯でレスキューを取得されたのですか?

きっかけは、いつも一緒に行くバディさんがダイビング中にロストしたことでした。

――なんと!何があったんですか?

海の沖合の海中にある岩礁、隠れ根のポイントで潜っている時です。この時期、新型コロナの影響で潜れるところが限定されていて、僕とバディさんは他で潜れないので、ここでほぼ毎週末潜っていました。毎週末連続で合計40本ぐらい同じポイントでした。

この日は僕とバディさん、そして友人のダイバー2人で合計4名で潜っていました。海中はいつもよりもかなり濁りが強い。そして、岩礁には広範囲に大きな漁師の網がひっかかっていました。

「体を引っかけるっと危ないなぁ」なんて気をつけていたのですが、周りを確認すると、3人しかいません。

バディーさんがいない。

ロスト自体はこれが初めてではありません。でしたが、探しても見つからない…。濁り、網。嫌な予感がして、僕らは浮上して船に戻りました。でも、バディさんが浮いてこない…。

船の屋根に見張りを立てて、僕はディンギという小型ボートで岩礁近くを捜索。もう心臓が口から出てくるぐらいに緊張しました。

そして、1時間ぐらいしたら、ブイラインから何事もなかったようにバディさんが浮かんで来ました。小型ボートでピックアップしにいくと、「あれ、なんでボートにいるんですか?」と人の心配など知らないバディさん。

バディさんを抱きしめたいぐらいに嬉しかった!けど、「クソ親父」と蹴飛ばされますので、抱きしめるのはやめておきました。(笑)。

反省点としては事前のブリーフィングでロストした時の対応をあやふやにしていたんです。40本も潜ってこのダイブサイトに慣れているという油断もありました。もしあの時バディさんに何かあったら…そう考えた時に、役に立つかはわからないけど、やらないよりマシなはず!とレスキューの講習を受けることにしました。

――たしかに、初心者の頃よりもある程度潜り慣れた頃の油断は事故に繋がりやすそうですし、レスキューを取得するには良いタイミングかもしれません。講習はどんな感じでしたか?

OWともAOWとも違うダイビングショップで講習を受けたのですが、インストラクターはフランス人の方で彼も僕もブラジリアン柔術という格闘技をやっているんです。なので、ふつうの友人のような関係なんです。

そんな彼の講習は、「PADIではこうやるけど、SSIではこう教えている、そしてフランス海軍式は…」と、なにかにつけて「フランス海軍式」がでてきて面白かったです。レスキューの実習では筋肉モリモリの彼が被害者役なので、船のプラットフォームに持ち上げる時とか、かなり辛かったですね!

PADIの実技が終わってもフランス海軍式ということで、水深20の海底でパニックになったダイバーを水面まであげるというスペシャルメニューまで…。

あとは、海上を探す時にフロートがあるとないとでは大違い、ということなどをリアルに実感しました。

――なるほど。とっさの時のためのものですし、ひとつの指導団体に傾倒せず多角的に学ぶのもアリですね!

自分よりずっと大きな生き物!毎回ある新しい発見!飽くなき冒険の日々

――印象的だったダイビングについて聞かせてください。

まずははじめてのファンダイビングで見たタオ島のギンガメアジですね。大群に囲まれて上下左右の感覚がなくなるほどで。ロストしかけましたしね。

それから、やはりジンベエ様です。2019年は3月から9月まで毎月ジンベエザメに会っていました。タオ島で検索すると必ず出てくるのが「ジンベイザメ」なんですが、それにしても、ちょっとでき過ぎでした!

ダイバー図鑑
タオ島といえば、ジンベエ様!

その中で特に「やばい!」と思ったのが、ちょうど200本記念のタオ島でのダイビングでした。2019年の6月。天候がかなり悪く、風裏になるポイントでしか潜れなくて。水もニゴニゴ。マクロレンズを付けて潜りました。僕のチームは1人のガイドさんに、僕ともう1人のダイバーさん、合計3名。ニゴニゴの水中で200本記念撮影。その後小さなエビなど撮影したのですが…

もう1人のダイバーさんがいない!

ということで、浮上となりました。ガイドさんが先にボートに上がり、僕も上がろうとラダーをつかもうした時です。まさかのボート下から「こんにちは!」とジンベエ様。すぐに他のチームもボートに戻ってきて、全員がジンベエ様を見ることができました。

水面近くをグルグルしてくれて、とても良い子でした。写真は当然うまく撮れませんでしたが、ものすごく印象に残っています。タイミングが1分ずれていたら会えなかったと思います。

実は、ギンガメトルネードの時もこのジンベエザメの時も同じガイドさんでした。ついでに、去年の3月、コロナが深刻になった時期にマンタに会ったのもこのガイドさんでした。僕がコロナ前の最後のゲスト。潜って2日後に国立公園がクローズ、ダイビングも禁止になりました。

――ジンベエザメ会いまくりですね!そのガイドさんも、Nabejizoさんも持ってますね〜。ジンベエザメ、私はまだ海で見たことはないんですが、やっぱり他の生き物とは一線を画する魅力があるんでしょうか?

ジンベエ様は格別ですね。普段、自分の倍以上も大きい動物と対峙する事ないじゃないですか!ジンベエ様に会えると、船の上全員が幸せな気持ちになれるんですよね。

ジンベエ様の周りにダイバーが100人以上いる時もあります。それはそれで「お祭り」を見ている感じで楽しいです。動きがゆったりして、堂々として神様!と思える時すらあります。

ダイバー図鑑
ジンベエ様は後ろ姿もかっこいい

――いいなあ、見てみたいなあ!マンタにも会えたんですね。

タイのインド洋側、アンダマン海に行くと大きなマンタがよく出てくるんです。沖縄のマンタより随分大きいと言われています。幅4mぐらいのもいて。大きなマンタに挟まれそうになった時はドキドキしました!

ダイバー図鑑
インド洋側のカオラック沖nににtにてにて
ダイバー図鑑
沖縄のマンタより随分大きい

――私は日本とインドネシアでのダイビングしか経験がありませんが、タイでのダイビングも面白そう!

タイ国内はほとんどのエリアで潜りましたが、まだまだ楽しいことばかりです。そして、新しい発見も多いんですよ。タイで2年半のダイビングの経験しかない僕ですが、最初の1年と次の1年とでずいぶんと変わりました。というのも、タイ国内のタイ人のダイバーさんと、日本人を含む外国人のダイバーさん、使うショップが違うし、ダイビングのスタイルが全然違うんです。

タイでダイビングしようと思っていろいろ調べる時、日本人が多い国なので日本語で調べてしまいます。そこでヒットした情報をもとにダイビングをすると、タイにいることを忘れるくらい見事に日本の世界なのです。日系のショップに、日本人や日本語が上手なガイドさん。

僕も最初はどっぷり日本の世界。駐在員ダイバーさんとのつながりも、同じショップから緩やかな集まりができていった感じでした。在タイ日本人が使うショップはだいたい日系もしくは日本人がいるショップです。船の上20人のダイバー、全員日本人!なんてことも普通でした。

2年目になってからは、タイ人のダイバーさん達とも仲良くなってきました。そして、初めてタイ人ダイバーさんご用達の船でダイビングに行ったのですが、今度は逆!外国人は僕らだけ!それまで何も感じていなかったのですが、この時、初めて気が付いたのです。ダイビングの世界では、外国人ダイバーとタイ人のダイバーさんが、はっきり分かれている!

――ほほう!タイのダイバーさんご用達の船、どうでしたか?

タイ人ご用達のボート。ボート自体も豪華だし、デイトリップのボートでもシャワールームが3部屋とか複数ある。バスタオル出てくる。調理室があってできたてのタイ料理が出てくる。ダイビングが終わってギアまで洗ってくれる。これは最高!でした。素敵すぎました。

船のオーナーとも仲良くなって、「今度ウミウシだけのダイビングやるから、おいで!」って誘われて参加してみたら、ウミウシ好きなダイバーだけで20人!こんな「企画ダイビング」なんて初めてだったので感激でした!タイにいる日本人マクロダイバーなんて数人に過ぎないので。

ダイバー図鑑
首都のバンコクから日帰りでいける、パタヤ&サメサンはウミウシ天国

さらに実際にそうしたメンツで潜ってみると、日本人の先輩ダイバーさんでも「タイで見たことない!」っていう子たちが実は近所にいっぱいいたり…「世界のウミウシ」さんにツイッターで書き込み頂いたり…新しい発見の連続でした。そして、そこから新しい繋がりが生まれていって、仲間も増えるし情報も入って来る。なんだか今までと全然違う面白さを見つけてしまったのです。

ダイバー図鑑
サメサン沖のウミウシ

今でも日系のショップさんには大変お世話になっています。そこに、2年目からはタイ人のダイバーさんの世界に入れるようになって、ダイビングの幅が広がりました。よりマニアックになってきたと思います。

――外国人向けのダイビングと現地タイ人向けとでここまで差があるんですね!

タイ人と外国人ではっきり分かれるのはタイ人のダイバーさんはダイブショップのツアーに参加する形が多く、外国人の場合は個人で直接ボートを持っているショップに予約する形が多いからだと思います。

タイ人ご用達の船は、ショップ経由の予約だけで満員御礼になることも多く、個人ダイバーからの申し込みを受けないところも多い閉ざされた世界です。そういう船にはノーチカムの代理店のオーナーがいたり、プロカメラマンがいたり、器材屋さんがいたりで、これまた人のつながりがいろいろ広がっていきます。

――なるほど。クローズドな世界だからこその人の繋がりも魅力ですね。1年目と2年目でダイビングショップの幅が広がりましたが、潜り方などにも変化はありましたか?

同じタイ、同じポイントでも、1年目と2年目では随分と印象が変わってきましたね。そして、去年の6月ぐらいからは、ガイドさんはつけずにバディと潜ることが多くなってきました。バディダイブってタイでは全く一般的ではないのです。普通は必ずガイドさんと潜るので、バディダイビングするにはスキルや経験は必須で、ダイブショップが特別に認めてくれた場合に限ります。

バディダイブができるようになって、同じポイントでも違う潜り方ができるようになってきました。「今日はいつもと違う方向に行って探検モードだ!」とか「今日はドリフトしよう!」「船からエントリーして、ビーチまで行ってみよう!」などなど。

同じポイントで何度潜っても新しい発見、楽しいことばかり!全然飽きないので、このまま、毎週のペースで潜り続けていきたいです!

――自由度の高いバディダイビングも、めっちゃワクワクしますね!

バディとの別れと、新たな出会い

――バディダイビングのハードルはダイビングショップ側が受け入れてくれるどうかもありますが、もうひとつ、同じように楽しんでくれるバディの存在かなと思います。どのように出会ったのですか?

最初のバディはタケシ。関西人のオッチャンです。タオ島で偶然に出会い意気投合、それから週末弾丸でいけるダイブサイトを探してはタケシと僕、そして中2の息子で潜りまくっていました。

この時に僕らがバディダイビングできたのはラヨーンというところだけでした。ショップが3軒しかないラヨーン。そこで何回も通い、写真を撮ることもあり、僕らはバディダイビングが可能になりました。

しかし、2020年に入りコロナが拡散し始めた頃、タケシが帰国することに。

――なんと!

さらに、息子もダイビングよりも自転車が好きになり、ダイビングに誘っても「行かない」という返事が続きました。

――あらら。

そんなこんなで、ある日ラヨーンに1人でダイビングへ行ったんです。ショップに着くと、スタッフから「こんにちは、こちらはホナさん(仮名)です。今日バディで潜っていただけますか?」と1人の日本人女性を紹介されました。これが出会いでした。

「エントリー後15分だけ、マクロ撮影させてもらってもいいですか?そのあとは、そちらに合わせます」と返事をしました。ホナさんにとっては、マクロ写真を撮るオッサンとバディになって潜ることも初めてだったようです。僕が撮影している間、ホナさんは近くで岩の穴や珊瑚をライトで照らして生き物を見ていました。

ダイバー図鑑
タオ島、オレンジ・リーフゴビー

楽しんでくれたかな?と不安でしたが、小さな生き物を眺めるのも結構好きということで「自由にダイビングできるって最高ですね!」と。さらに話してみると、実はご近所さん!しかも近場ダイバーのLINEグループに入っていることも判明!それで、ホナさんから「よくジンベエ見ている方ですよね!」と。

翌週、ラヨーンでしかダイビングができなかったのでまた行ってみると僕の他にはホナさんだけ。またバディダイビングすることに。その翌週も。ダイバーまた2人。

家も近所だから、「次回は一緒に行きましょう!」となり、次の週からは車で一緒に移動するようになりました。そして、その後2ヶ月の週末と全ての祭日をラヨーンで潜る結果となりました。連続で40本以上です。

タイはコロナが早く終息したので、2020年の6月には他のダイブサイトに行けるようになり連休にタオ島に行きました。その時のタオ島。透明度がとてもよかったのです。僕らが潜り続けたラヨーンはシーズンオフでニゴニゴ。そこから、最高の透明度のタオ島へ。ここで、バディさんの水中での姿勢がとても綺麗だと気がつきました。すごく絵になると。写真撮る他のダイバーさんも、みんなホナさんモデルにしている…。タオはガイドさんと潜りますが、ガイドさんも「ここ泳いで〜」とか指示出したり。それ以来、僕の撮る写真も変わってきました。

ダイバー図鑑
タオ島の魚群

ダイビングは1人より2人のほうが旅行の手配も楽ですし、自由度も増します。それからほぼ毎週、現在に至るまでホナさんと潜り続けています。

――最初のバディさんの帰国でどうなるかと思いましたけど、また毎週のように一緒に潜ってくれるバディに出会えて良かったですね!

僕は同じダイブサイトではいつも同じショップに通い続けるので、今では大体のダイブサイトでバディダイブを認めてもらっているんです。

僕のようなオッサンに毎回よくついてくるな?と思いますが、バディさんはこの「自由度」が一番の理由のようです。

タイでのダイビングは思ったよりハードルが低くて簡単!

――ところで、せっかくNabejizoさんへのインタビューなので、タイのダイビングサイトについて聞いてみたいと思います。

「タイでダイビング」と日本語で調べると、バンコクから日帰り可能な「パタヤ・サメサン」、タイ湾のダイビングのメッカ「タオ島」、アンダマン海の「カオラック」の情報がいっぱい出てきます。まるで日本か?というぐらいに。

日系ダイビングショップはこの3箇所に集中していますね。日本人インストラクターやガイドがいるショップを探すのは本当に簡単です。英語ができれば、さらに選択肢が多くなります。

ダイバー図鑑
ビーチも綺麗!

――おすすめのシーズンなどはありますか?

タイはポイントを変えれば一年中シーズンということになります。

パタヤ・サメサンはバンコクからも近く、駐在員ダイバーも多く輩出していますが、ここは一年を通してダイビングができます。

タイ湾の南部に位置するタオ島のシーズンは2月から10月ぐらいとシーズンが長いです。

アンダマン海側のカオラック。シーズンは10月から4月までと他に比べると、短いです。シーズン以外は荒れてダイビングすること自体が難しくなります。

中でも「タオ島」は特に日本語情報が充実しています。後で気がついたのですが、タオ島に来る日本人ダイバー、タイに住んでいるダイバーよりも日本から来る観光客ダイバーさんの方が圧倒的に多いのです。2月3月は大学生が大挙してやってきてライセンス修得、GWとお盆は日本から来た日本人ダイバーだらけになります。僕ら現地組はかなりのマイノリティーです。コロナの今は、現地組しかいませんが…。

タオ島はタイ人よりも外国人旅行者の人口が多く、その旅行者のほとんどがダイビングを目的としています。高級リゾートというより、バックパッカーがくるところ。物価も安いところです。

日本のツアー会社で、飛行機からフェリー、ダイビングまで手配しているところもありますが、自分でダイブショップと直接やりとりしても手配可能なところが多いです。すべて日本語でできるところも多く、ショップが現地でのホテルなど手配してくれたりもするので、タイ国内からでも日本からでも手配は簡単ですよ。

――手配が簡単なのは心強いですね!タイ自体もなんとなく親しみやすそうなイメージがあります。

タイは日本人にとって、駐在しやすい国と言われているくらいですしね。

首都のバンコクはタイの地方からすると別の国みたいな発展ぶりです。一方で地方も地方で楽しいんですよ。僕の住んでいるチョンブリー県はダイビングやウインドサーフィンが楽しめますし、バンコクのような都会ではできないサイクリングも楽しいです。

ちなみにGoogleで調べると、ダイブショップのホームページばっかりがヒットして「タオ島とプーケット、カオラックしかない!」みたいな印象なんですよね。でも実はタイには知られざる秘境がいっぱい…。なので、ラヨーンとかチャーン島とかをアピールしたがる僕がいます!

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カンボジアにちかいチャーン島へいくフェリー
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チャーン島沖の沈没船を覆う魚群

外国なので、言葉の壁があったり、情報がなかったり…でも、その壁は低いぞ!壁を超えたら楽しい世界がまっている!と言いたい時も多いのです。僕と一緒にダイビングに行く人、特にタイに来たばかりの若者には、「ホテルは自分で予約してみな?」とか「フェリーは自分で手配してね!」とか今後自分1人で自由に動けるようにしむけています。

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チャーン島沖の沈没船にはジンベエ様も遊びにきます

――自立ダイバー養成所ですね!自由な旅に秘境、いいですね。

海外である「日本」、そして在住地タイでもまだまだ潜り足りない!

――Nabejizoさんが思う理想のダイビング年間カレンダーを聞かせてください!

2月〜3月:タイのインド洋側、「アンダマン海」でマンタを追いかける!
4月〜9月:タイの太平洋側、タイ湾内の随一のポイント「タオ島」でジンベエ様からマクロまで。
10月〜1月:タイの太平洋側、チャーン島の沈没船で魚の群れに埋もれる。
     タイの太平洋側、家から近所のサメサンでウミウシ探しまくる。

理想ですが、実際このカレンダーで潜っています。同じところでも写真を撮っているとゴールがないのです。

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リペの海は花園です

――写真自体も奥が深い上に被写体も動くし、多いし、時間がどれだけあっても足りませんよね。今後やってみたいこと、行ってみたい場所などはありますか?

海外にも行ってみたい!海外というか、日本です!漠然と。タイ在住が長くなり、日本がだんだん外国になってきてしまいました。

コロナ前は日本から来たダイバーさんと一緒のチームで潜ることも多かったのですが、日本のダイビングの話を聞くと、異国のダイビングの話を聞いているようでした。南北に長い国なのでいろんな場所が気になっているのですが、単純に自分の生まれた国だから潜ってみたい!と思っていて。

あとは、僕がどこかへというだけでなく、コロナが終息したらまた日本からダイバーさんにいっぱいきてもらいたいですね!以前、タイのタオ島…普段はタイ国外からのダイバーさんが圧倒的に多かったところで潜った後にガイドさんたちと「日本から来ていた常連のダイバーさん、どうしているかね?」ってお話になりました。かなり長い間会っていない気がします。静かな海もいいけど、やっぱり海は賑やかでないと。

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インド洋の一部、アンダマン海。マレーシアにちかいリペ島

――そうですね、早くいろいろ落ち着いて、気兼ねなく海に行ける日が来てほしいです。それでは最後になりましたが、魅力いっぱいのタイで潜ってみたいダイバーさんへメッセージをお願いします!

日本から飛行機で6時間程度のタイ。太平洋とインド洋と二つの大洋に面していて、一年中どこかでダイビングが楽しめます。

タオ島やシミラン諸島の知名度が高く、情報も入手しやすいと思います。他にもあまり情報が出ていませんが、魅力的なダイブサイトがいっぱいです。日本人スタッフがいるダイブショップもいっぱいです。

ダイビングだけでなく、美味しいタイ料理や、イタ気持ちいタイマッサージも手軽に楽しめます。

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タイ料理おいしいです!
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タイの果物も新鮮で美味!

コロナ終わったらぜひ遊びに来てください!

――ありがとうございました!

魅力的なダイビングポイントに富んだタイに住むNabejizoさん。そんな国で毎週末潜り続けてもまだまだ飽き足りないのだから、海も写真も本当にディープな世界ですよね。また、ダイビングショップさん、バディさんと信頼関係を築くことの大切さを改めて感じさせられました。これからもいろんなダイブサイトを開拓していってください!

おまけ

実は「魚柄のお店 うみのいきもの」で販売中のジンベエザメTシャツは、Nabejizoさん考案のアイデアなんです!

背中はジンベエザメらしいドット柄、前面はコバンザメが張り付いています。

Nabejizoさんはいつも一緒に潜るメンバーに「ジンベエザメ撮影で肝心なのは背中の模様!」とお話しするそう。たしかに、あの模様が見えてこそ、ジンベエザメらしさが伝わりますもんね。改めて素敵なアイデアありがとうございました!