ダイバーの正体に迫る本企画、16人目はPan-P Dropさんです。よろしくお願いします!

Pan-P Dropさんプロフィール

現在ダイビング歴6年のAOW(PADI)。経験本数は45本。中部地方の海なし県民。会社員。Twitterではダイビング・海関連などをつぶやき中。

目の前に広がる「海の情景」に大興奮!

――まず、ダイビングを始めたきっかけについて教えてください。

物心ついた時から海のお魚が大好きで、図鑑やビデオを繰り返し見てはひたすら絵を描いている子どもでした。特定の魚というより海の情景が好きで。それで、いつの頃からかダイビングに対しても憧れを抱いていたんです。映像で見るあの浮遊感を体験してみたいなあと。

そんなある日、行きつけの居酒屋のマスターにダイビングをやってみたいと話したところ、彼も30年くらい前スキューバダイビングが大流行した頃にCカード(ライセンス)を取ったらしく。今通っている地元のダイビングショップを紹介してもらったんです。

――子どもの頃から海の世界に惹かれていたんですね!初めて実際に潜ったときの印象はどうでしたか?

感動の一言に尽きますね。水中で呼吸できていて、大好きだったあの海の景色と自分が一体になっていることに大興奮でした!これが海の中なのかぁ〜って。

それに、潜ってから知ったんですが、海の中って何でもアリなんですよね。あらゆる場所に様々な生き物がひしめいている。どこに自生しても自由。どんな見た目で身を守っても自由。その外見や手段を互いに責めることもなく、ただ純粋に命のやりとりをしている、そんなところに改めて魅力を感じました!

――本当に、海ってまさに「自由」そのものですよね。OW講習(ライセンス取得)はスムーズに進みましたか?

中性浮力とエアの消費がとにかく早かった点は苦労しました。

――中性浮力もエア消費も、多くのダイバーにとって最初の難関ですよね。

中性浮力は浮遊感を楽しむためにも習得しなければならないと知ったので、今でもプールや海でのダイビング中にトレーニングしています。割と改善してきたかなと。一方でエア消費はまだまだです…。座間味ツアーでは、一番容量の大きいタンクにしてもらったのに最速でなくなってしまって、プレッシャーになったりもします。エア大好きなので仕方ないですね(笑)。

――OW取得後はどんな海で潜っていたんですか?

OW取得から4年くらいはずっと伊豆と沖縄ばかりでした。海なし県在住で近場でも最低1泊することになるので、気軽には行けないのが現実で。でも、見方を変えて「行くならしっかり休みを取って徹底的に非日常を満喫する」という意識で臨んでいました。

でも実は、前々から海外でも潜りたいと思っていたんです。いまいち踏ん切りがつかず二の足を踏んでいた時に、ダイビングショップのオーナーから「頻繁にダイビング行けないなら、思い切って海外ツアーに参加するのもいいんじゃない」と言われ、「確かにな」と思いまして、現在は海外ツアーに照準を合わせています。オーナー曰く、「若いうちにいろんな刺激を受けたほうがいい」とのことで、それを実践し始めた感じです。

――なるほど。確かに回数が少ないなら充実感のある内容を追求するのもアリですよね!

もともと、ダイビングも何か決まった生き物を見たいというより、根や岩場、サンゴ礁の周りにいる生き物の営みを見て海の世界に浸るのが好きですし、ダイビングツアーもダイビングをきっかけに海だけでなく陸でもいろんなことを経験したい、という気持ちがあるんです。遊び、文化、食、空気感。ツアー全体を楽しみたいなと思いながら参加していますね!

カルチャーショックのセブ、魚影が濃かったプーケット

――これまでに参加した海外ダイビングツアーについて聞かせてください。

経験本数30本くらいの時に初めての海外ツアーでフィリピンのセブに行きました。不安もありましたが、ワクワクの方が勝っていました。

セブの海

でも、中性浮力に難があったので出発前にはできる限りの準備をしました。その結果、結構うまくできたと思っています。先輩ダイバーたちが写真を撮っている間、ずっと中性浮力の練習をしていましたけど(笑)。

――おお!どのような準備をされたのでしょう?

水に慣れるために市民プールに通ったり、ダイビングの練習会でひたすら浮力コントロールの練習をしたり。中でも一番効果的だったのが中性浮力の解説動画を見て行うイメージトレーニングでした。アスリートの方々がよくやっているようですが、めちゃくちゃ大事ですね!

それまでもダイビングショップのオーナーからアドバイスをもらいながら感覚的には練習していたんですが、意識すべきポイントがより明確になってコツを掴めたんですよ。自分の中でうまく咀嚼できたんだと思います。

――イメージトレーニングは効果的だと言われますもんね。万全で臨んだセブの海はいかがでしたか?

魚影については正直期待していませんでしたし、実際、伊豆の海とそんなに変わらなかったです(笑)。オスロブのジンベエザメにも会いに行きましたが、意外と感動もしませんでしたね…。やはり自分は「海の情景」が好きなんだと再認識しました。よく言えば潜っているだけで幸せな人間なのかもしれません。

でも、陸では海外ならではの体験ができたのでなかなかエキサイティングでしたよ。個人的に一番キツかったのはトイレ問題です。特に公衆トイレが…ね。日本とは便器の形が違っていたり、Gが堂々と闊歩していたり。自分の中で何かを諦める音がしました(笑)。それ以来、ホテルのトイレ以外は極力使わないようにしましたね。

セブの海

――こういうのも含めて若いうちに経験しておく方がいいですよね(笑)。その後はどこかへ行ったんですか?

はい、その翌年にタイのプーケットに行きました!海も陸も本当に満足度が高かったです!

プーケットの海

透明度は日本近海と変わらなかったものの魚影は抜群に濃かったです。朝イチで潜った沈船の周りは前後左右上下360度全方位すべて魚に囲まれて、とても幸せでした!あの感動はちょっと忘れられないです…。乾季は透明度が良くなるのでまたリベンジしたいです。

それに、陸ではとにかくご飯がおいしくて。海外の前提条件であるトイレ、水、チップ文化にも慣れて挑んだ2度目の海外だったので、いっそう楽しむ余裕が出てきたんです。

――海の充実感はもちろん、食の相性は重要ですね!楽しめてよかったですね!ところで、海外を中心に潜るうえで器材はどうしていますか?

器材はマスク、シュノーケル、フィン、5mmウェットスーツ、ダイブコンピューターの順に購入して、BCとレギュレーターはレンタルしています。

最終的にはタンク以外は揃えるつもりですけど、はじめは何から買うか迷いましたね。今思えば僕の場合はダイブコンピューターから購入すべきだったと思っています。中性浮力のスキル上達のためにかなり効率が良かっただろうなと。中性浮力が取れているつもりでも、意外と上下動いていることってあると思うんですが、体感より数値でしっかり認識できる方がより早く上達しそうだなって。

――ダイブコンピューター、たしかに!安全停止の時よくわかりますが、結構浮き沈みしますもんね。器材は結構ガッツリ持っていくんですね。ダイビング用のバッグで持ち運んでいるんですか?私は勇気がなくてキャリーケースなんです…。

自分もキャリーケースに押し込んでいますよ(笑)。

ホテルに着いたらメッシュバッグに移して初日に現地ショップに持ち運び、ダイビング後はショップに預けています。最終日にピックアップする感じです。長期間のツアーだと意外と持ち運びの機会が少ないのがメリットですね!

――ダイビングショップに預けられるなら、あれこれ持って行けそうですね!

海も陸も!ダイビングだけでない特別な海旅への期待に心踊る

――現在は新型コロナの影響で思うように計画を立てられませんが、次はパラオを目指しているんですよね。

ですね!ダイビングショップのオーナーに透明度が高くて魚影の濃い海に行きたいと尋ねたところ、パラオとマウイを勧められて。実はこの夏AOWを取ったのも、来年の2月頃にパラオに行こうと思っていたからだったんです。新型コロナのため叶いませんでしたが…。いずれにせよ、海外でダイビングするならAOWは必要になるので取れただけでも良しとします!

――パラオのためのAOW取得だったんですか!タイミング残念でしたね…。AOWで苦戦した課題はありましたか?

ナビゲーションが大変でした。一発でクリアはできたんですが、透明度3〜5mの中で行ったので目標物もないし、出発点のすぐ近くに戻ってこられたものの視界不良でインストラクターを一瞬見失って焦りました。

あとは、「魚の見分け方」も。ツアーで潜った5本の中で自分が見た生き物30種の絵を描いて図鑑と照らし合わせるというものだったんですが、記憶を頼りに魚たちを描くというのはかなりの苦行でした(笑)。チョウチョウウオ、カワハギの仲間は諦めました…彼らはよく見かけるにも関わらず特徴がパッとせず覚えにくくて。

――わ、特徴を捉えていてすごいですね!これはうまく描けた!というのはいますか?

ウシノシタ、アオリイカ、ニザダイは自分で言うのは恥ずかしいですが上手に描けたほうだと思います。逆に苦労したのは幼魚たち。それから、ミノカサゴの上に丸で囲んだ彼が最後まで正体不明でした。僕は何を見たのか…(笑)。

――なんと、一体何だったんでしょうね…!?さて、AOWも取って準備万端ですが、次に目指しているパラオとマウイについて詳しく伺えますか?

パラオはおそらく自分にとっては理想の海だと思っています。透明度が高いのに魚影も濃いという両立しにくい条件が整っているので、かなり期待値が高いですね!有名なのはブルーコーナーですが、僕はそれ以外のところも楽しみなんです。たぶん行ったら興奮しっぱなしでしょうね。

それに、行くとしたらクルーズ船でのダイビングを考えているので、人生初の船での寝泊まりも楽しみです。

マウイは抜群の透明度を味わいたいのと、クジラですね。時期にもよるそうですが、水中での大合唱はぜひ堪能したいです!でも、マウイには海より楽しみなことがあるんです。

――というと?

利用しているダイビングショップのオーナーが昔マウイで生活していたことがあって、現地に精通しているんです。インストラクターになったのもマウイでだったそうで。なので、「ダイビングしに行く」というより「プチ移住する感覚」らしいです(笑)。

しかも、オーナーがレンタカーを借りて自分で島を案内できるので陸での観光にはオプション費用がほとんどかからないんですよ。ツアー内容もコンドミニアムに宿泊して、オーナーが作った朝食を食べてから「今日何します?」って予定を決めるんですって。そこのダイビングショップではリピーター続出の人気ツアーになっています!

――それは惹かれますね!面白そう!その他、今後行ってみたいところはありますか?

パラオ、マウイ以外だとボリビアのラパスにも行ってみたいです。場所も違えば海中の雰囲気もガラッと変わるでしょうし、向こうの食・お酒も堪能したいですね。

それから、タオ島!海も行きたいですが、タオ島のココナッツキャラメルが食べたいのです!

――どこもかしこも夢が膨らみますね!それでは、最後になりますがダイビングを始めようか、続けようか迷っている方にメッセージをお願いします!

ダイビング欲を抱えながら二の足を踏んでいるそこのあなた!迷うくらいならやってしまいましょう。ダイビングには「年に何度も行かなければいけない」なんて決まりも法律もありません。

全てあなたの自由です。

初心者・玄人、レジャー・テック、などなど、いろいろカテゴライズされますが、そんなくだらない色分けにとらわれず、自分のペースでダイビングを楽しむことが何より重要です!それがあなたのダイビングスタイルとなり、他の人には味わえないあなただけの水中体験となるでしょう!

――ありがとうございました!

海の景色が大好きなPan-P Dropさん。ダイビングを入口に自分の世界がどんどん広がっていく、それって本当にかけがえのない体験ですよね。そして海は究極の自由を感じられる場所だと改めて思わされました。念願のパラオ、早く行けるといいですね!