ダイバーの正体に迫る本企画、14人目はAceさんです。よろしくお願いします!

Aceさんプロフィール

現在ダイビング歴3年のMSD(PADI)。経験本数は250本超。お仕事は都内の不動産業。サイドマウントダイバー。InstergramTwitterでダイビング報告や近況などつぶやき中。

未知だった海の中の世界へ!歴史を紐解くレックダイビングに夢中

――まず、ダイビングを始めたきっかけについて教えてください。

子供の頃から海が好きでいつも夏は海に行っていました。大人になってからもボート免許取ってヨット乗ったりビーチ行ったりと、いつも海に遊びに行ってましたが、「海の中」だけは素潜りでしか知らなかったんです。

4年前にマウイ島で体験ダイビングをやってみてから、ずっと「やりたい!やりたい!」と思っていたものの、Cカード(ライセンス)となるとなかなか面倒臭くて。そしたら、3年前に「娘がOWのCカードを取りに行きたい」と言い出したので、一緒に取ることにしました。

――娘さんがきっかけ!何が彼女を掻き立てたのでしょう?

娘は高校からハワイに留学してるんですが、友達にも先生にもCカードを持っている人がいて、取りたくなったようですよ。ちょうど自分の通っているジムなら安く講習を受けられたので、プール実習はジムで受け、海洋実習は八幡野に行きました。

――実際に海で初めて潜った時の印象って覚えてらっしゃいますか?

6月の八幡野だったのですが、思っていたより透明度が良く、22〜3度の中ウェットスーツで潜ったのですが、寒くなかったです。今までも何度も素潜りで遊んでた伊豆の海でも、スキューバで潜ると想像した以上に綺麗でした!また、素潜りと比べて「息ができる!」っていうのは大きいですよね!

素潜りで耳抜きなども慣れていたのもあって私も娘もスムーズに講習は進み、「もっと早く始めてれば良かった!」という感想です!座学だけはちょっと面倒でしたけどね(笑)。

――OWを取った後、どれくらいの頻度で通われていたのですか?

6月にOWを取って、その1週間後にAOWを取ったのですが、夏真っ盛りだったので毎月沖縄に行きました!でも50本くらいまでは1日2本くらいでしたね。ここ1年くらいは月10本以上潜ってますね。2018年は計130本超えましたので(笑)。

――沖縄に毎月!素敵すぎますね。しかも、ストレートでAOWを取ったとのことですが、取ろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

OW取った後、「どこに潜りに行こうかなぁー」とネットや雑誌を読み漁っている時に、古宇利島の沈没船エモンズのことを知って。それがレックダイビングとの出会いでもありました。

どうしても潜りたくなって調べていたら「AOWかつ100本以上」って条件にたどりついたんです。それでAOW取得と100本目指してペースを上げました。

――レックダイビングがお好きなんですね。魅力を聞かせてください!

ミリタリー系が好きなのでレックダイビング(沈没船ダイビング)はどハマりしたんですよね。魚礁としてのレックはあまり興味がなく、大戦で沈んだレックが好きで、潜る前の下調べと、潜ってる時や後のそれぞれの印象が様々で、本当に楽しいし、戦争のこともたくさん勉強になります。

――なるほど、ダイビングは歴史を紐解く楽しみ方もあるんですね!

チュークのレックダイビングと大物に出会うシミランクルーズ

――これまでで印象的だったダイビングについて聞かせてください。

ひとつめはチューク(かつてのトラック諸島)のレックダイビングですね。かつて米軍の大規模空襲でたくさんの輸送船が沈んだ場所です。

戦跡のレックって、潜れる所は透明度良くない場合が多いのですが、チュークは透明度がとても良く、乾季でも雨季でも最低20mはありました。もちろん乾季で深めのレックだと、さらに透明度は良いです!透明度が良いとレックの全体を見渡せるし、なによりやっぱりダイビングは「透明度」命でしょ!

また、チュークのレックはカラフルなソフトコーラルに覆われてる事が多くて、私は「人工建造物にソフトコーラル」という対比もとても好きなんです。古宇利島のエモンズやサイパン&グアムでのレックも透明度良いんですが、ソフトコーラルがあまりないんです。

――透明度にソフトコーラル!ミリタリー好きというわけでなくても楽しめますね。

レックダイビングはあまり日本人が興味持たない分野なので、チュークには欧米人ダイバーが多いのですが、欧米人にたくさん質問されました。「なんで日本人はレックダイビングしないんだ?」とか、船内で見つけた道具などの使い道や、「なぜ船の名前に丸がつくの?」とか(笑)。

あとは、やはり私は潜る直前や、レックを前にして手を合わせますが、一緒に潜るゲストの中には人骨を掲げて見せたり「自分たちで沈めた船!」と優越感に浸っていそうに感じてしまうこともあって、そこは寂しくなりますね。

でも、チュークで仲良くなったアメリカ人家族がいて、「私の祖父が陸軍航空隊だった」と話したら、偶然彼らの祖父も航空隊で「ヨーロッパ戦線にいた!」と写真を見せてもらって。とても仲良くなって、去年秋にノースカロライナで一緒にレックダイビングしたんですよ。

――それは不思議な出会いですね。仲良くなれるのは純粋に嬉しいですし!ところで、レックダイビングするにあたって、スキル面で気をつけられてることってありますか?

チュークに行く前に「レックSP」を取ってから行きました。それでいろいろ習うんですが、魚礁でないレックの「中」に入りたいならば、絶対に必要なSPだと思います。サルベージされて比較的物が取り払われてる船内ですが、戦後70年以上経った船内は危険がいっぱいですから。

――ケイブダイビングと一緒でオープンな場所ではなく、狭いし引っかかるし…といった感じでしょうか?

それもそうですし、きちんと中性浮力が取れてシルトを撒き上げないようにするとか、出入り口の危険生物とか、自分の吐いた泡で上からシルト落ちてくるとか、正座してる沈船ばかりではないので中に入ると平衡感覚が変になることがあるとか。あとは、平均して深いので(30m)デコに気をつけないといけないです。挙げたらキリがないくらいですね。

――そ、そんなに…!それは確かに、単にAOWではなくレックのSP取るほうがいいですね。ちなみに、チュークへはご自身で手配して行かれましたか?

チュークに限らず、旅行は基本全て自分で手配します。ダイビング ももちろん。 チュークにはユナイテッド航空グアム経由のフライトで、土曜に出るとその日のうちにチュークに着きます。中4日潜って、帰りはグアム泊です。

――グアム経由なんですね。それならあまり海外慣れしていなくても馴染みある人多いかもですね!

ふたつめの印象的なダイビングはシミランクルーズです。

きっかけは「ダイビングクルーズしてみたい!」と思っていろいろ調べていた時に、そこそこ短期間でも行ける「シミランクルーズ」が1番良さそうで。気に入ってリピートしています。

――シミランクルーズいいですよね!行ってみたいんです。

初めてのクルーズの時は全く大物に出会えなかったんですが、去年12月の2回目の時の2日目、マンタのクリーニングサイトに行ったんです。岬の先端に近いので結構流れがあるところで。岩陰でマンタ待ちしていたらベルが鳴って、巨体が現れました!別の方向からもそれぞれ現れて合計3枚いましたね!流れているのであまり近づけなかったんですが、それでも結構な大きさで近く見えました!

(上から撮影した写真を共有いただいて)

デカイでしょ!

――おわー!このアングルで見ると大きさがよくわかりますね。やっぱり大物見るとテンション上がりますね!せっかくなのでクルーズでの様子も伺ってみてもいいですか?

んー、私は基本的に潔癖症なのでリゾートステイに比べると快適ではないです(笑)。でも、シミラン諸島のあるタイは食べ物が美味しいんです。海の上でも陸でも。ダイビングから上がって来るたびに朝昼晩の食事だったりスナックだったりが用意されてるので、とにかく「潜って食べて寝る」の繰り返しですね(笑)。

――ほぼ合宿ですね!リピートされてる魅力はやはりダイビングしまくれるからでしょうか?

それもありますが、仲良くなったガイドさんがカオラックに住んでるという理由もありますね!シミランは、クルーズ2回、リゾートステイ1回と、3回行きました!

――それはリピートしちゃいますね!やっぱり気になります、シミラン!

ふつうのダイビングより楽チン!?サイドマウントダイビングとMSD

――そういえば、Twitterのプロフィールに「サイドマウントダイバー」(タンクを背中ではなく脇の下に取り付ける)とありますが、まだあまりメジャーではないですよね。きっかけは何だったのでしょう?

エモンズのレックダイビング後に目標がなくなってしまったところに、新たに「長門」という目標ができたんです。そのためには「テックダイビング 」に進まなければならなくて。あとは、チュークでいろんなレック潜っていると、やはりバックマウントだといちいちぶつかるんですよね。それでサイドマウントダイビングのSPを取りたくなりました。

まだまだわかったつもりなだけかもしれないですが、私はバックマウント(タンクを背中に背負う方法)より身体の自由度がある気がします。動きやすいというか、流れててもあまり負荷がかかりにくいというか。

――魅力もありそうなのですが、一方で「テックダイビング用」という別世界のようなイメージもあって…慣れるまで時間はかかりましたか?

今のところ、サイドマウントでまだ30本くらいしか潜ってないですが、講習の時しかダブルシリンダー使ってないんです。シングルの時はもう片方にウエイト付けるので、バランスは問題ないですね。私の場合だけなのかもしれないけど、サイドマウントの方が楽チンなので、すぐ慣れましたよ!

――おお、シングルでもサイドにつけられるんですね!いろいろ思い込みで知らずにいることが多いですね。同じくプロフィールに「MSD(マスター・スクーバ・ダイバー)」とあるのですが、これはどんな経緯があったのですか?

MSDは、好きなSP取ってたら、自然とそうなっただけなんです(笑)。スクーター、ドリフト、フォト、レック、EAN、サイドマウント、と。

――なるほど、しかも全部楽しそう!スクーターも取られたんですね!面白かったですか?

面白いですよ!おススメです!

――いいなぁ、いつかやってみたいです!

今後はテックダイビングの世界へ。まだまだレックへの情熱は尽きない

――今後やってみたいことはありますか?

今後の目標はビキニ環礁の「長門」です。来年か再来年、チュークで仲良くなったアメリカ人達と潜りに行く予定を計画してます。

先月、呉の「大和ミュージアム」でやっている「長門」の特別展をに行き、41cm主砲の実物大も見てきたのですが、やはり主砲が見どころでしょうか。ビキニ環礁には長門以外にも米国核実験で沈んだ軍艦がたくさんあるので、たとえば「米海軍空母サラトガ」なんかもとても見たいんですよ!まずテクニカルダイバーに進まないとですね。

――実物はきっとすごい迫力なんでしょうね…!テクニカルダイビングは実はレジャーダイビングのひとつなんですよね。幅がどんどん広がりますね!それでは、最後になりますが、ダイビングを始めようか迷っている人にメッセージをお願いします!

ダイビング やってる人たちって、「どハマりしてる人たち」と「そうでもない人たち」に分かれている気がします。どちらになるかはやってみないとわからないので、「まずは潜ってみて」感じてほしいですね!

――ありがとうございました!

歴史が好きな人にとっても魅力的なレックダイビング。Aceさんのお話を聞いていると、カメラや魚だけでない、ダイビングの楽しみ方の幅広さを知ることができて楽しかったです!サイドマウントダイビングやスクーターも面白そう。テックダイビングへの挑戦、がんばってください!