夏休みや夏季休暇にダイビングのCカード(ライセンス)を取って何度か潜っているビギナーさんは、そろそろ楽しむ余裕も出てきている頃でしょうか。そして、ダイビングを楽しむ余裕が出てくると、次にぶつかる壁が「もっと潜っていたいのに、エアがすぐなくなる」ではないかと思うのですが、どうでしょう?

せっかくのダイビング、エアの持ちを長引かせてできるだけ長く水中を満喫したいものですよね。

エア消費が早い理由はいろいろと考えられます。専門的なことやスキル的なことは置いておいて、初心者がよくやってしまう、なおかつ「今すぐ直せる」ものにフォーカスしてご紹介します♡

まず、どうしようもない理由は?

ダイビングのエア消費を抑える

  • 体格や肺活量など個人差によるもの
  • 深場でのダイビング
  • 借りられるタンクの最初の残圧が少ない

これらは自分自身では、なかなかどうしようもないところです。深場でのダイビングは水圧がかかって容積が小さくなり、濃度が濃くなりますが、肺活量は変わらないために一度の呼吸で消費するエアが大きくなります。また、どれくらいの残圧からスタートできるかはショップさん次第です。(個人的には200ちょっとオーバーくらいのショップさんだと「当たり♡」)

今すぐできるエア消費を抑える方法

ダイビングのエア消費を抑える

では、初心者であろうと、どんな環境であろうと、次のダイビングからすぐに実践できるエア消費節約方法について見ていきましょう。

1. BCDのエアをすぐに抜きすぎない

オープンウォーターのCカードを取る際に、インストラクターの方に「BCDの給気ボタンは長押ししちゃだめ。一瞬押すのを何回もやりながら調整して」と習って、その通りやっていた…つもりだったのですが、半年ほどダイビングを続けた後に友人に指摘されて気づいたのがこれでした。

もう少し詳しく書くと、給気ボタンは確かに長押ししないようにはしていました。しかし、「障害物だ」と思って給気をして、避けたらすぐに全部排気して、また障害物を避けるために給気して…という「こまめな全排気」をしてしまっていたのです。どうせすぐに給気するのに全部排気しちゃうと無駄になりますよね。

中性浮力が取れなかったり、呼吸によって浮力コントロールできない場合、また急浮上を警戒している場合は同じことをやってしまっている可能性があると思うので注意してみましょう。

2. ウェイトを適正にする

ウェイトが重くなりすぎていないかチェックしてみましょう。というのも、急浮上はとても危険なので、インストラクターさんによってはビギナーの方には安全のために「やや重めのウェイト」を渡している可能性があります。すると沈みすぎてしまうので必然的にBCDへの給気が必要になってしまうのです。

3. 器材をチェックする

私の体験なのですが、ヤフオクで買った器材の残圧計ホースにものすごく細かな穴が空いていたようで、一緒に潜ってくださってたオーナーさんから「小さな気泡が出てる」と指摘されました。レギュレーターに繋がる中圧ホースには異常がなかったので呼吸はできるのですが、残圧が実際より少なく表示されてしまう可能性があるそうです。

また、もうひとつは「給気ボタンを押していないのにBCDに給気されてしまう」というBCDの中圧ホースの問題が起きたことも。これは急浮上の危険性もあるので、「おかしいな」と感じたらダイビングショップの方に相談してみましょう。レンタル器材でなくても、とりあえずの応急処置はしてくれるかもしれません。

4. フィンキックをできるだけしない

「フィンキックしていると浮いていられるのに、フィンキックを止めると沈んでしまう」という場合は、ウェイトを見直すかBCDへの給気コントロールをチェックしてみましょう。フィンキックを止めても浮いていられるのが理想です。運動量を増やすと、どれだけ気をつけていても思った以上にエア消費してしまいます。水中では極力動かないくらいのつもりでいましょう。

5. ガイドさんとの距離を詰めすぎない

「はぐれるのが怖い」と思っていると、ついついガイドさんに触れるほどピッタリくっついて泳ぎたくなるもの。でも、水中では話せないしアイコンタクトもできないので、ガイドさんがどこで止まろうとするか、どこで方向転換をしようとするか予測することはほぼできません。

ということは、触れるほどピッタリくっついて泳いでいれば、途中でぶつかりそうになって、避けようとしてぐるりと回り込まなければならなかったり、立泳ぎになって浮き気味になりBCDから慌てて排気したりという無駄な動きが発生してしまうのです。

また、バディとは横並びが基本です。1〜2m程度の距離を保ちながら泳ぐようにすると、まさかのエア切れ時にも焦らずに済みます。

どうしてもはぐれるのが心配な場合は、指示棒(タンクをカンカンと叩いて知らせる)やライトを携帯しておくと、声が出せない代わりに位置を知らせることができるので安心です。この「安心して潜る」というのは、エア消費を抑える上でも、パニックを防ぐ上でも結構重要だったりします。

6. 立ち泳ぎしない

立泳ぎをするとフィンキックによって水面に向かって進んでしまい、BCDのプラス浮力を感じてギョッとすることがあるかもしれません。そして慌てて下向きになろうともがいたり、BCDから排気したりするとエアを無駄に消費してしまうことにつながります。慣れないうちはつい立ち姿勢になりたくなるのですが、なんとかぐっとこらえてみましょう。

7. 1本だけカメラ無しで潜ってみる

カメラを持つと脳を使うこと、落とすことへの不安などからエア消費が大きくなってしまいます。でも、せっかく水中カメラを持っているのに、ずーっと持たずに潜るのも辛いですよね。そこで、「カメラの有無によってエアをどれくらい余分に消費するか」を体感するために、1本だけカメラ無しで潜ってみましょう。

もし、それでエア消費を抑えることができていれば、カメラを使う時にできるだけ無駄な動きをしないように気をつけたり、撮影モード切替など頻繁な操作をしないようにして、水中カメラに慣れるところから始めてみましょう。

後は、実際に使ってみて本当によかった「スナッピーコイル」もおすすめです。手首ストラップはすぽっと抜けてしまう可能性があり、どこか緊張が抜けないのですが、スナッピーコイルのカラビナをBCDに付けておけば、完全な手放しでも落とすことがないので安心です。

参考記事:
ダイビング中にカメラをなくさない!スナッピーコイル

8. プレッシャーのない環境でのんびりダイビングする

周りに気を使ったり、プレッシャーを感じたりするとその分負担がかかるようです。リラックスして泳ぐことが大切ですね。

私がエア消費を抑えるきっかけになったのは、鹿児島の大学生さんたちが大勢通っているショップにお邪魔したことでした。それまで先輩ダイバーとしか潜ったことのなかったビギナーの私は、無意識にプレッシャーを感じていて知らず知らず常に焦っていました。ところが、その時はゲストの中にダイビングを始めたばかりの子がいて、その子に合わせて泳ぐことで自分を客観視することができ、落ち着いて泳げるようになりました。

また、ダイビングスポットの環境も大切です。深すぎず、冷たすぎず、流れが強くないところで泳ぐようにするとリラックスしやすくなります。

努力次第でなんとかなる!さらにエア消費を抑える方法

ダイビングのエア消費を抑える

さて、ここまでは「今すぐできる」対策として、スキルや習慣を変えることなくできるものについて挙げてきました。でも、もちろんスキルを身につけたり、習慣を変えることによってもエア消費を抑えることが可能です。

  • たくさん潜って緊張や焦りをなくす
  • 息を吐く時間は吸う時の2倍を目安に
  • 泳ぐ姿勢は水平を保つ
  • 中性浮力を身につける
  • 喫煙をやめる

スキルアップによってエア消費を抑えられるようになってきたか知るためには、タンクの残圧をログブックに記録するだけではなく「1分間のエア消費量」を記録しておくのもいいでしょう。参考になるサイトを貼っておきます♡

丸わかり計算エア消費量(オーシャナ)
https://oceana.ne.jp/calcair

いかがでしたか?

ダイビングは他のゲストとの協調が必要になる場合が多いので、「エア消費を抑えるためのスキルアップをしたい!」と思っても、講習以外でしっかりと時間を取ることが難しいですよね。

「今すぐできる対策」をしながらダイビング自体に慣れ、ファンダイビングの中でもちょっとずつスキルアップできる心の余裕ができるといいですね♡

また、先輩ダイバーの方々にぜひお伝えしたいのが、時々「スキルがなくてうまくいかない」と苦手意識を持ってしまっているビギナーダイバーさんのお話を聞きます。苦手意識を持つと、本来落ち着いてやればできることまでうまくいかず、ダイビングが楽しくなくなったり、パニックになりやすくなったりしてしまうこともあるように思います。

ぜひ、うまくできているポイントにも目が向くように温かいフォローをしてもらえるとうれしいです。私自身、大学生ダイバーさんと泳いでいる時に、オーナーさんから「さすが先輩だね!上手上手」とおだてられたことをきっかけに(笑)、自信をつけてリラックスして潜れるようになりました。

参考になりましたら幸いです♡