ダイバーの正体に迫る本企画、17人目はつよぽんさんです。よろしくお願いします!

つよぽんさんプロフィール

現在ダイビング歴3年のレスキューダイバー(PADI)。経験本数は70本。和歌山県在住。仕事は福祉関係。現在ダイブマスター受講中。Twitterでは海や日常のことをつぶやいています。

海に呼ばれて始めたダイビング、鼓膜損傷にも諦めず潜った先には

――まず、ダイビングを始めたきっかけについて教えてください。

元々めちゃくちゃインドアで、社会人になって何かアウトドアの趣味を持ちたいなと考えたんです。

中学から大学までずっと競泳一筋だったのと、兄がダイバー(AOW)ということもあってダイビングに興味を持ち始めた時に、当時勤務していた会社のプロジェクトで県内の起業家の方が小学生の1日先生をする企画があり、そこでダイビングショップのオーナーさんと出会って。白崎海洋公園でCカード(ライセンス)を取りました。

――海に呼ばれた感じですね!

まさに!運命を感じました。

――水泳をされていたとのことでしたが、Cカード(ライセンス)の講習はスムーズに進みましたか?

学科は特に問題なかったのですが、実技は本当にダメでした。耳抜きが全然できなくてかなりしんどかったです。一緒に講習を受けていた人は自分よりもうまくて劣等感もありました。

それで、インストラクターさんに無理してOKサインを出して潜り続けた結果、鼓膜を破ってしまいました。

――なんと…大丈夫だったんですか?

潜水性中耳炎になりました。翌日耳鼻科に行って鼓膜を切開し、1〜2週間で自然に治りました。講習には合格しましたが、あまりの過酷さにCカードをもらってもあまり実感がありませんでした。こんなにキツイなら無理に趣味にするのはやめようと思うほどで。

――そんな経験をしたらそうですよね。

でも、ここで諦めずにもう一度挑戦してみようと思って。

後日同じポイントでインストラクターとマンツーマンでファンダイビングした時に、気持ちに余裕が持てたのか、改めて水中で呼吸できることに感動したり、講習では味わえなかった生物の魅力やダイビングの楽しさを発見しました。

ダイビングを始めるまでは、海底遺跡のような建造物を見つけたり、沈没船を探索するアドベンチャー的なものだと思っていたんですけど、沖縄やグレートバリアリーフにいるようなクマノミなどの生き物が和歌山にも意外と生息していてビックリしました。

そして、いつかこの楽しさを他の人にも伝えられるようにインストラクターを目指そうと決意したんですよ。

――講習で大変な思いをしたのに、インストラクターを目指すまでになったとはすごいですね!

ファンダイビングであまりに感激して、すぐにマイ器材をフル購入してAOWを取ってしまうほどだったんです。

当時のことを師匠(ダイビングショップのオーナー)と話していたら「よくダイビング続けようと思ったね!」と笑っていました。無理せずゆっくり自分のペースで行くことは本当に大事です。

――現在はレスキューダイバーとのことですが、AOW、レスキューの講習はいかがでしたか?

AOWはまったく問題なかったです。

でも、レスキューダイバー(RED)は水泳部の経験があっても、体力的にも難易度的にもキツかったですね(笑)。水中で意識不明の溺者を水面に浮上させてから器材脱着、人工呼吸、浜まで運びCPRするというデモンストレーションがあるんですが、ひとつの工程でも失敗すると最初からやり直しだったので何回も練習しました。

それから、その頃から「プロを目指すなら常に先を考えて行動すること。答えが何通りもあるから臨機応変に対応できるようにスキルを磨きなさい」「1ダイブ1ダイブ、自分で目標を決めて潜るように」と教わって、意識するようになりました。

――なるほど。たとえば、どんなことを目標にするんですか?

中性浮力や撮影方法などですね。スナップ写真を撮ることが多いんですが、撮影方法なら被写体をどういうふうに撮りたいかをまず考えて、フラッシュの入り具合を計算して撮影するとか。

――将来こんなインストラクターになりたい、というイメージはありますか?

師匠から言われた「先を考え、臨機応変に対応できる」ことはもちろん、ゲストの希望や異変をすぐ察知できて、生物に詳しいガイドになりたいですね!写真もゲストになにか特別な思い出を残してほしくて、きれいな写真を撮れるようにスキルアップを心がけているんです。

――現在はダイブマスター受講中とのことですが、難しいですか?

そうですね。ダイブマスターはいろんなスキルが「できて当然」である上に、見本レベルまでできないと合格点をもらえないんですよ。特に中性浮力は奥が深くて難しいです。ホバリングは普段のダイビングですることはあまりないですしね。

スキル練習は水中でしかできないことも多いですが、なんの準備もなく海に入ってもできないのでイメージトレーニングが必要だと言われます。

今は月に1回の講習と、時間に余裕のあるときは体験ダイビングのアシスタントとして参加して経験を積んでいっています。年明けにはダイブマスター合格を目指しています。もう少し経験を積んでからインストラクターかなと思っています。

――がんばってください!

大迫力のジンベエザメ、水中写真の魅力に惹かれ

――これまでで印象に残っているダイビングについて教えてください。

昨年4月に行ったセブ島です。マクタン島のジンベエザメが餌を食べに来るポイントで潜ったんですが、船の数メートル先に5頭くらいジンベエザメがいて。写真撮影に気を取られていたら、ジンベエザメが目の前にどーんと現れて!あまりの大きさに2tトラックに轢かれるかと思いました(笑)。野生のジンベエザメの大きさにビビりました!

――2tトラック!すごい迫力ですね!

夢中になりすぎて近くで撮ろうと必死になってしまい、僕も周りのダイバーも浮上アラートが鳴りまくっていましたね(笑)。

マクロツアーも参加して、クマノミやウミウシも見つけました。透明度はめちゃくちゃ良かったですけど、小さな生き物は沖縄でも見れちゃうものばかり撮っていましたね。

ちなみに、セブ島のダイビングはいわゆるお殿様・お姫様ダイビングだったのでめちゃくちゃ楽でした。衛生面や治安が心配でしたが、不便だったのはホテルのお湯が出ないことや交通の便。あと屋台や飲水は食中毒の可能性があるので避けたくらいですね。

――海外ですが、行きやすいところなんですね!その他、心に残るダイビングや好きなダイビングってありましたか?

好きなダイビングというと、フォトダイビングですかね。それまでカメラを触ったこともなかったんですが、AOWを取ってすぐくらいに、オリンパスフェスタというイベントで初めて水中カメラを使わせてもらって。プロの水中写真家、清水淳さんに「スジが良い」と言われたときはすごく嬉しかったです。

この写真は印刷して今も部屋に飾っています(笑)。

――それは嬉しいですよね!

すぐにTG-5を買いましたね〜(笑)。レンズとストロボは使っておらず、自然光かハンドライトのみで撮影しています。周囲からは「TG(コンパクトカメラ)を卒業しろ」と言われています(笑)。

――水中写真はどういったところが難しいですか?

体を固定して撮影することと、被写体を驚かせないように近づくことですね。水中写真を始めたばかりのときは、とりあえずひたすら撮影枚数を重ねるように師匠に言われました。1ダイブ最低50枚撮るように言われていましたね。今は構図を気にして撮るようにしています。

――今後はどんな撮影をしてみたいですか?

一眼レフカメラを買ってワイド撮影したいですね!マンタとか。

いつかインストラクターになって和歌山の海を一緒に楽しめたら

――今後やってみたいこと、行ってみたい場所について教えてください。

ロタ島に行ってみたいです!ロタホールで写真を撮りたいですね。

それに、国内の海は全部周ってみたいです。伊豆は行ったことがないんですが、現地のダイビングショップのインストラクターさんとSNSで繋がることができたので、時間があれば行って学んできたいです!

――いろいろと楽しみですね!では、最後にこれからダイビングを始めようか迷っている方にメッセージをお願いします!

ダイビングは時間もお金も必要で大変ですが、日常を忘れさせてくれる出会いがあると自分は思っています。僕の生まれ育った和歌山の海はきれいで生き物も豊富です。四季折々のダイビングを楽しむことができます。気候も人も温かいですし、皆さんぜひ潜りに来てくださ〜い!

いつか自分もインストラクターになって、ゲストさんと一緒に楽しめるダイビングができるようにがんばります!

――ありがとうございました!

耳抜きでつまずき、一時はダイビングを続けられないかもしれないとまで思ったつよぽんさん。そんな状況でも諦めなかったことで、想像もしなかった素敵な世界に出会えたんですね。ダイビングを始めてみる勇気、そして、くじけそうになった時にもう一歩だけ踏み出している勇気が何かを変えるかもしれません。あと、くれぐれも無理は禁物です!つよぽんさん、インストラクター目指してがんばってください!