ダイバーの正体に迫る本企画、11人目はさかなさんです。よろしくお願いします!

さかなさんプロフィール

現在ダイビング歴7年のAOWダイバー。経験本数は250本。化学系の企業の研究職。ダイビングで見た魚はTwitterで更新中。

ダイビングは水族館の延長。そんなイメージを覆す、ダイナミックな水中世界!

――まずは、ダイビングを始めたきっかけについて教えてください。

小さい頃から海に限らず水場が大好きだったんです。水泳、釣り、川遊び、磯遊び、アクアリウム、水族館等々…。

「残りはダイビングだな」と思っていたところで大学に入ったんですが、その時は体を動かすのが好きだったのでスキンダイビングを選びました。ジャック・マイヨールへの漠然とした憧れみたいなのもあって。

その後、そのサークルの同期とスクーバダイビングのCカード(ライセンス)を取ろうということになり。沖縄へは行ったことがあったので、海外で潜ってみたい!と思ってサイパンに行くことにしました。その頃、ちょうどサイパン便が安かったということにも背中を押されました。

――海外でのCカード取得!不安はありませんでしたか?

海外での取得については確かに若干の不安がありました。でも、日本人スタッフオンリーのショップでしたので、行ってみたらほとんどストレスなく過ごすことができました。

サイパンは治安も良いし現地の人も日本人慣れしているので、海外ダイビングデビューにはおすすめですね。またいつか行きたいなーと思ってます!

――初めて潜ってみてどうでしたか?

ダイビングのイメージは、正直「水族館の延長」くらいに思っていたんです。

でも、ガラスを取り除き、自分がその中に入る体験、実際の海での空間のダイナミックさ、生き物たちのいきいきとした生活、波や潮流といった自然の迫力は想像以上で、あっという間に魅了されていきましたね。

といっても、学生の間はなかなか金銭的余裕がなかったので、スクーバダイビングはあまりやっていなくて、年に1〜2回程度だったんです。大学卒業する年、4年前になりますが、同じくサークルの友人と沖縄でAOWを取得し、その後、社会人になって本格的にスクーバダイビングにのめり込みました。

今は静岡県西部に住んでることもあって、伊豆の大瀬崎に月1回ほど行っています。そして、年に一度は沖縄か海外に長期休暇でがっつり潜れるように仕事頑張ってます(笑)。

魚たちとの出会いと対話を楽しみ、自然の力強さに身を任せる。

――印象的だったダイビングについて教えてください。

まず、1つ目は、2年前にホームの大瀬崎で初めて一眼レフを持って潜った時のことです。

大瀬崎は基本ビーチなのですが、まずポイントまでハウジングを持ってくだけで腕がパンパンになりそうなほど重くて(笑)。途中から台車に乗せてもらいました…。

それまではコンデジを使っていましたが、一眼レフで1番違うと感じたのはオートフォーカスの速さですね。段違いです。動いている生き物を撮影する上では圧倒的なアドバンテージだなと驚きました!わかってはいたつもりでしたがそれ以上でした。あとはマクロでの細部の描写力。ヒレの一本一本までクッキリ写るキレの良さには感動でしたね。

この頃からフォトダイビングにドップリハマっていきました…(笑)。

――そりゃもう、ハマりますよね(笑)。撮りごたえのある被写体や、何度も挑戦している被写体はありますか?

撮りごたえがあるという意味では、珍しい生き物よりも、生態が面白い生き物が好きですね!

ホームの大瀬崎でいつもチャレンジするのはハナダイ系の婚姻色です。ナガハナダイ、アカオビハナダイなどのオスがメスにアピールする時だけに見せる鮮やかな婚姻色はいつ見ても美しいですよ。

ただ、アピールは一瞬で、泳ぐのが非常に早くなるので撮るのにいつも苦労します…その分、撮れた時の達成感はひとしおです!

――きれいそうですね!水中写真のスキルアップのために、何か気をつけていることやコツはありますか?

技術的なところで言うと、とにかく練習あるのみですね(笑)。もともとカメラは好きだったので、陸上での撮影経験もかなり活きていると思います。なかなか難しいですが、フルマニュアルのフィルムカメラなんかに触れるとかなり勉強になりますよ。

水中特有なところですと、やはりライティングが難しいと思います。セッティングしたカメラを使って、薄暗い部屋で練習しながらイメトレするといいかもです!水中での時間は限られてますからね。

あとは生き物をよく観察することですね!魚であれば目とヒレを見ればどんな状態なのか大体わかります。感覚的なところがあるので説明するのはちょっと難しいですが…。警戒しているのか、リラックスしているのか、これ以上近寄ると逃げてしまうのか。

ファインダーを通して生き物と対話しながら撮るのが、楽しくもあり難しくもあるところですね。

――なるほど!逆にいうと、思った距離感で撮れないのは、テクニックだけでなく、警戒させていたり、撮影できる状態かどうかの見極めが甘いのかもしれないんですね。

2つ目の印象的なダイビングは、AOW講習で体験した慶良間沖山礁での激流ドリフトです。初めてのドリフトダイビングということで、船上ではちょっと緊張していましたが、海中に飛び込んだ瞬間、非常に美しい光景が広がっていて。

素晴らしい透明度で、どこまでも広がる綺麗な青色の海は圧倒されるほど美しく、ゆっくりとフリー潜降していく感覚は空を飛んでいるようでした。そして、真下を見るとなんとマンタが!早い潮流の中で雄大に泳ぐ姿に心奪われました。

――マンタ!感激ですね。

水底に着くころには遠くに行ってしまい一瞬でしたが、忘れられない出会いです。

そのまま早い潮流に乗りながら大きな根に向かいましたが、1匹1匹の魚がデカイ!他の場所で見る同種の魚が1.5倍増しくらいのサイズでびっくりしました。早い潮流の中だと強く大きな個体しか生き残れないのでしょうね。

だんだん早くなる潮流に、もはや抗うことはできず、まるで川の中にいるようで。景色がどんどん流れていく様には、少し怖さを感じるとともに自然の力強さに感動しました!

それまで、マクロの生き物をゆったり探すビーチダイビングばかりだったので、ダイビングの印象がガラリと変わりました。

――素敵です!

ちなみに、AOW講習では那覇滞在でしたが、那覇のショップは大きめのボートで慶良間諸島まで遠征してくれるところが多いので、コスパが良いです。日中は慶良間ブルー、夜は国際通りで一日楽しめますよー。

――いいですねー!贅沢!

3つ目は、ブラックマンタ狙いで行ったニューカレドニアでのダイビングです。

滞在日数があまり長くなかったですが、ブラックマンタ1枚と通常のマンタ3枚を1度のダイブで見れて良かったです。通常のマンタとはまた違う存在感があって興奮しましたね。

――ブラックマンタは独特の威圧感がありますよね。ところで、フランス語圏って結構ハードル高そうに感じます…!個人手配ですか?

ノンダイバーとの旅行だったので飛行機とホテルはツアーで、ショップは自分で手配しました。ショップはやはり日本人スタッフがいないと心配なので、ALIZEというショップにしました。ここしか日本人スタッフのいるショップがなかったと思います。ダイビング込のツアーでもここになるはずです。

ローカルのファストフードに行くと英語があまり通じなくて、少し戸惑いました(笑)。でも、ホテルやホテル近くの観光客向けレストランは英語でも問題ないのであまり心配はありませんよ。

また、ニューカレドニアでは午前の2ダイブのみで午後はダイビングを行わないスタイルが基本です。なのでお昼はホテルに戻ってから食べ、午後は観光したりホテルやビーチでゆっくりしたり。いつもは夕方まで潜って夕飯食べて終わりですので、ゆったりした一日が新鮮な感じでした。

ダイビングも楽しみ、リゾート感もゆったり楽しみたい方にはおすすめです。欧米人が多いのでグアムやサイパン、フィリピン等とはまた違った雰囲気が楽しめますよ。

――思ったより気軽にチャレンジできそうですね!

そして、4つ目はバリでの沈船ダイビング。

ウミウシ狙いで行って、日本ではなかなか見られないウミウシをたくさん撮れて大満足!だったのですが、それ以上に沈船リバティ号の迫力に衝撃を受けました。

沈船の大きさはなんと全長120mで高さも20m以上!デカすぎてダイビング中に全く全貌は見えないですし、自分が船のどの辺りを泳いでるのかよくわかりませんでした(笑)。トサカやヤギなどもたくさん付いていて、非常に多くの数と種類の魚が棲んでいました。

ビーチポイントでワイドでもマクロでもいくらでも楽しめるところは他にはなかなかないと思います。1本だけしか行きませんでしたが、1週間潜っても飽きないだろうなと感じさせるポイントでした!

――実はリバティ、私も潜ったことがあるんです…けど、初の海外ダイビングで慣れる前に行ったので、とにかく必死でそこまで味わえなくて。今行ったらもっと楽しめただろうなぁ…!

リバティ号、行かれたことあるんですね!

たしかに同じポイントでも余裕のあるなしで楽しみ方は変わるかもですが、はじめの頃ははじめの頃で、新鮮な体験ばかりで楽しかったなという気持ちもあります(笑)。楽しみ方がどんどん増えるのがダイビングの良いところでもあると思いますね。

――そうですね。またそのうち行ってみたいです!

きっとこれからも上書きされていく感動を形に残したい。

――今後やってみたいこと、行ってみたいところなどはありますか?

やってみたいことはホームページを作ることですかね。今までは潜っただけで満足したり、シェアするにしてもTwitterでの活動くらいでしたが、何か形に残していきたいという気持ちが最近出てきました。三日坊主になりそー、と腰が重い…。

――さかなさんだったら、きっと続けられますよー!そして、飯テロならぬダイビングテロお待ちしてます(笑)。

ダイビングテロ、がんばってみます…(笑)。

行ってみたい場所は小笠原!最近「ダーウィンが来た!(NHK)」でも特集されてましたが、浮遊系ライトトラップをぜひ小笠原でやってみたいです。

ライトトラップというのは、ナイトダイビングで大光量水中ライトをいくつか水底に設置し、その光に集まってくる生物達を観察する、というものです。普段は大瀬崎でライトトラップをよくやっていますが、あの宝探しのような感覚は癖になります。

――楽しそうです!小笠原すごいんでしょうね。では、とうとう、最後になってしまいましたが、ダイビングを始めるか迷っている人にメッセージをお願いします!

迷っている方は少ならからず、海の中に潜るという行為に不安があるかと思います。

ですが、そこを飛び越えたときに待っている光景と体験は想像以上のものです。魚にエビにイカにウミウシに地形に写真に…。楽しみ方は千差万別無限大!空を飛ぶような感覚、宙に浮いている感覚、海に包まれている感覚は、疲れた心を癒やしてくれます。

地球の7割は海、特に日本は四方を海に囲まれた島国。地球の半分以下しか楽しめないなんてもったいない(笑)! ぜひみなさん海中でお会いしましょう〜!

――ありがとうございました!

さかなさんの「水族館の延長」という想像を大きく上回る迫力。ゆったりフォトダイビングとはまるで違う、力強い海の表情。さかなさんのダイビングへの印象が何度も上書きされてきたことを知って、海や自然の壮大さを改めて感じさせられたインタビューでした。ホームページ、楽しみにしています!